都営住宅の暮らし

自治会

自治会は強制加入では決してない(参考:自治会費等請求事件 平成16(受)1742)のですが、ほとんどが加入している状況です(なかにはやはり加入していない人もいます)。私の棟では未入居を除き、100%の加入になっています。自治会費はばらつきがあり、地区によって500〜5,000円程度ですが、1,000~2,000円くらいのところが多いようです。3,000円だと高い方の部類に入ります。

ごみ置場の管理も自治会で行います。ただし管理の方法は、地区によってまちまちです。居住者で、期間を決めて当番制でやっているところもありますし、私のところのように、すべてを外部に委託しているようなところもあります。ちなみに新聞、ダンボールなどは自治会で回収し、収入源にしているところが多いです。

棟周り、自転車置き場、廊下、階段、エレベーターホールの清掃も、居住者で当番制でするところや、階段など一部を委託しているところ、そこまではやっていないところなど、まちまちです。

役員は1年間の持ち回りでやっているところが多いです。なかには万年自治会長などという方もいますし、自治会規則で多選を制約している場合もあります。私のところですと、4号室(104,204,304,404,・・・・,904,1004など下一桁が4)がその年の役員ですと、翌年は5号室の人たちに移ります。その場合、役員は4号室の人たちとそれ以外(有志みたいな方)で構成され、その中から、会長、副会長、会計、会計監査、書記を選びます。会長は何年もやっている方がいたりします。また役員の中に外国人の方がいる場合、不思議と会計の仕事につきたがる傾向にあります(必ずしもというわけではありません)。会長には月1万円といったように、報酬が支払われる場合があります。京都府営のとある住宅では、「会長に月10万円の報酬」などというところがありましたが、ここまで高額な金額が支払われていることはないと思います。自治会費の集金ですが、私のところでは、役員がやっています。

棟周りの草取りですが、年2〜3回程度実施しているところが多いようです。しかし私のところでは、出席者がかなり少ないです。その原因は「出席してください」というだけで、強制参加ではないということです。さらに悪いことに、欠席のペナルティも何もありません。これでは誰も、積極的に出ようとしません。
草取り
欠席者対策については自治会によっても違いますが、「世帯で誰も出席しない場合は1回につき千円を徴収する」というところもあります。本当はそういうことはしないほうが、よいに越したことはありません。またある程度世帯数が多い棟だと、どこが欠席か、把握するのも容易ではありません。まさか出席簿を置いておくわけにもいきませんし、「そんなことを強制されるくらいなら自治会を脱会する」という人まで出てきそうです。また、私の棟は外国人の方はほとんどいませんが、外国人が多いところでは、自治会にはあまり加入していないとも聞きます。

話は戻りますが、現在ペナルティのない自治会が、「千円徴収」のような制度を途中から導入しようにも、総会などで、反対多数で否決される公算が大きいと思います。参加しないような人に限って反対してくるからで、その「参加しない人」が多数を占めている以上、どうにもならないということです。つまりは「正直者が馬鹿を見る」ということです。

その他の行事としては、夏まつりや消防(防災)訓練、もちつき大会などをやっていたりする場合もあります。


ペット

住まいのしおりの31ページ(平成25年3月発行版)には動物の飼育制限についての記述があり「犬、ネコ、鳥などの動物の飼育はお断りします」と書かれています。特記もないことから、この飼育制限にはウサギ、ハムスター、カメ、金魚、昆虫等、すべての動物が対象になっていると考えるのが妥当です。なお同じ東京都住宅供給公社が管理する都民住宅では「小動物(魚、小鳥等)は認められています」と記載されています。この動物の飼育制限は、昭和39年4月から「住まいのしおり」に記載されており、昭和50年からは毎月発行される「すまいのひろば」でも注意喚起されています。ただし法的な根拠や条例、規則はありません。「決めごとなのだから守りなさい」的な感じです。JKKでの入居説明会の際にも、この項目は担当者もスルーしていて、「あまり触れられたくない」という感じでした。

私の棟の世帯数は約100世帯ですが、このうち犬、ネコ(他の動物はわかりません)を飼っている世帯は、体感的に15世帯ほどと思われます。部屋で飼育されているようですが、どうしても鳴き声が聞こえてきたり、においが流れてくることがあります。またエレベータに乗るときに、犬を連れた人と一緒になることがありますが、多くの人が抱っこしているのに対し、平然と床に立たせたままの人もいます。ひどい場合は、エレベータの床にオシッコがそのままになっている時すらあります。雨の日にはエレベータにマットを引くのですが、かなりひどい尿臭がします。

ペット禁止看板
かつて「都営住宅でのペット飼育禁止の確認請求事件」がありました(東京地裁平成11年(ワ)第1459号)。これは都営住宅に居住している原告が、都に対して、ペット飼育禁止を守らせる義務を負うことの確認と、それを取り締まらなかったことで受けた精神的苦痛として、50万円の損害賠償を求めたものです。また住人である被告A(ネコの飼い主)、被告B(犬の飼い主)に対しても、犬やネコを飼育することが禁止されているにも関わらず、それらを飼育し原告方に侵入するなどして精神的苦痛を与えたとして、各50万円ずつの損害賠償を求めたものです。これに対して平成12年1月26日に東京地裁が示した判断は下記のようなものでした。

(判決)原告の請求をいずれも棄却する(つまり「都営住宅ではペットは飼えないはずだ!飼い主と都は損害賠償しろ!」と訴えた原告が敗訴したということです)。

(理由)原告にとって、近隣で犬や猫が飼育されていることが耐え難く感じていたとしても、集合住宅における犬猫の飼育の是非について、種々の議論がある中で、原告のような感情に応じて、直ちに、被告東京都に本件義務が生じ、それを履行しなくてはならないものとは解することができない。

被告Aが猫を飼育したこと自体が、受忍限度の範囲を超えて、原告に何らかの具体的な損害を及ぼしたとの主張立証は、次に触れる本件猫が二回侵入したとの点を除いて何らされておらず、被告Aが猫を飼育していたこと自体が原告に対する不法行為となるとすることはできない。

被告Bの犬が原告方に侵入したのは単なる偶然であって、被告Bが意図したものでないこと、また犬が原告方に侵入した直後に被告Bは本件犬の名前を呼ぶなどして呼び戻そうとしており、原告方に本件犬が留まったのは原告が玄関のドアを閉めたことによるもの。原告が供述する、本件犬が原告方のカーペットを汚しその上で尿をしたとの事実がたとえあったとしても、軽微なものである上に、原告が原告方の玄関のドアを閉めて、本件犬を閉じこめなければ発生しなかったものであると考えられる。被告Bは、原告に生じた損害に対して社会通念上必要とされる慰謝の方法を既に尽くしているものであって、これ以上に慰謝料を支払ってまで謝罪しなくてはならない損害は存在しないと認められる。

つまり都が注意義務を怠ったとはいえず、住民である被告A,Bの原告に対する不法行為も認められなかったということで、原告敗訴となっています。

この裁判の後、平成14〜22年度にかけて、都営住宅において犬、ネコ等のペットが適正に飼育できるかどうか、可能性を検証するため「動物適正飼育モデル事業」というのが実施されたことがあります。対象となったのは、小日向二丁目アパート(文京区)、上砂町一丁目アパート(立川市)の一部の棟です。しかし鳴き声やふんの不始末などの苦情が寄せられたことに加え、入居者に対するアンケートでも、約半数の人が都営住宅内でのペット飼育に反対したそうです。このようなモデル事業を実施することができた、比較的ペット飼育に関して理解のあるところですらこの結果ですから、都営住宅での動物飼育は、入居者間での合意形成は困難と結論づけられました。

都営住宅は高齢の一人暮らしも多く「寂しさを紛らわすために、(近隣に迷惑をかけなければ)ペットくらいよいのでは」という意見や、アニマルセラピーの普及、「ペットも大切な家族の一員」という意見もあります。ただやはり決まりごとは守る必要があると思います。「条例や規則がないんだから構わない」ということにはなりません。

私の子どもは最近ハムスターを飼いたいと言ったのですが、都営住宅では動物の飼育はできないと話しました。すると、住民の中に犬やネコを飼っている人がいることを知っていて、

「犬やネコは飼っていいのに、なんでハムスターはダメなの?」

これには本当になんと返答したらいいのか困りました。都営住宅に入居するずっと以前に、犬(スムースチワワ)を飼っていたことがあります。体が弱く、動物病院にかかることも多くて、年間かなりの費用がかかっていたと思います。相当の低所得世帯となった今、仮にペット可であったとしても、とても飼える状態ではありません。都営住宅は低所得者のための住宅ですが「1頭十数万円する犬を複数頭飼い、その犬を連れて高級自家用車で買い物に行く」という光景を実際に見ると、なんだか複雑な気持ちになります。 ペット飼育禁止を住民全員に守らせることなど100%不可能だと思いますし、かと言ってペット可にもできません。この問題の解決は、まだまだ先になると思います。


差別

「都営住宅に住んでいるというだけで、差別をうけたことはありますか?」という質問をネットでみたことがあります。この背景には「貧困層が多いから」という蔑みもありますし、「(税金で)安く住まわせてもらっているくせに」というのも根底にあるのでしょう。私は生活保護受給者でも公務員でもありませんが、昨今の「生活保護タタキ」や「公務員バッシング」も根はそれと同じだと思います。もちろん生活保護の不正受給や、本当に必要な人たちよりも「職員を恫喝するような元気はあるのに働かない人」のほうが受給しやすいなど許せない話ですし、公務員の給料も、仕事量からすると気の毒なくらい安い人が案外多くいる反面、全然仕事もしない50代が、年功序列の給与体系に助けられ、年収800万円以上というのも実に妙な気がします。

私が以前ネットでよく覗いていた掲示板に「マンションコミュニティ」がありました。分譲マンションを購入するにあたり、検討している人用の検討板、すでに住んでいる人用の住民板などがあり、自身の関係するマンションについて、結構真剣な書き込みが多く見られました。今でも盛況の掲示板です。しかし今は都営住宅住みの身分ですから、ほぼ見ることもなくなってしまいました(泣)。

久しぶりに見た掲示板にはこんなことが書いてありました。当時はあまり気にもしなかったことです。立場がかわると随分見方がかわるものです。これは既に築後数年の、C市内の某マンション購入検討板での書き込み内容です。近くに都営住宅が立地しており、そのことについての言及があります。
「(都営住宅に住んでいる人は)非常識な人が多い」
「(親の立場として)都営の子どもと同じ校区になるのが気になる」
「都営含め周囲に宗教関係施設もありかなり悪い」
「都営は住民層が悪すぎです」
「(地域に住めば)マナーの悪さにきっと驚く」
「子育てに非常に良くない」
「『生活保護のほうが楽で年金よりもらえる額が多くていい』という人ばかり」
「自営業者なら脱税して(所得を低くみせかけて)でも居座る」

まあ言いたい放題です。確かに一部にはそういう人もいるかと思います。しかしそれならば分譲マンションや一戸建てにもそういう人もいると思います。ただ一般的な「公営住宅に住んでいる人たちに対する世間の目」は、上記のような考え方が主流になっているのかもしれません。また「確かに分譲マンションや一戸建てにもいるかもしれないけど、その比率は公営住宅のそれよりずっと低いんじゃないの?」と反論を喰らいそうです。

エレベータボタン
この写真はエレベータ内の子どものイタズラです。どうやらすべての階が押してあったようです。

私には小学生の子どもがいますが、クラスには都営住宅から通学している子は2人だけですので、他の親からどう思われているか心配な部分もあります。「クラスの半数近くが都営」とかなら、同じような境遇で理解してもらいやすく、まだいいのかもしれません。これもネットでみたのですが「団地の子とは遊んではいけません」という親もいるそうです。本当かウソかはわかりませんが事実なら悲しいことです。

私が中学校の時、校区は小学校区を単位に、南地区・北地区・西地区の3つから構成されていました。南地区は中学校が所在する標準的な地区。北地区はほぼ100%が公営住宅の地区。西地区は高級戸建てや高層マンションが多い、裕福な人が多く住む所で、私立中学に行ってしまった子も多くいる地区です。私は西地区の住民でした(賃貸住みで裕福ではありませんでした)が、そんなことを気にして友だち付き合いはしなかったですし、親からも「北地区の子とはあまり付き合うな」とも言われたことはありません。いわゆる「不良」も当時は結構いて、北地区に一番多かったのも事実ですが、南地区、西地区にもちゃんといました。仲がよく、卒業してからも付き合いがあったのは、なぜかほとんどが北地区の子でした。

「都営住宅に住んでいるから」というだけで偏見の目を向けるのは、一部の人だけかもしれませんが、やはり厳然たる事実だと思います。最近でも平成26年12月14日、日野市の都営住宅の防火扉に、「低学歴・穢多・不具者達の楽苑!!ここは貧民窟で~す!!(原文のまま記載)」と落書きされているのが発見されています。ただ少なくとも、今の私の周囲は皆いい人ばかりです。「これだから都営住宅の住民はダメだ」と言われないよう、自身の行動にも気をつけていきたいと思います。


セールス

公営住宅は都営アパートに限らず、実にセールスが多いです。よくある新聞の勧誘から、「被災地から新鮮な魚を売りに来た」「ケーキの販売に来た。試食もあるよ」「換気扇の清掃に回っています」、そして定番の「ふとんのマ◯ハチ」の2人組。今日に限ったことではありませんが、大抵こちらが「は~い」といっても「すみません(出てきてください)←このカッコの部分は言いません」というのみで、何者か名乗ったりしません。「どちらさまですか?」と言っても「マ◯ハチです」のみ。「何の用ですか?」と聞くとしぶしぶ「布団のクリーニングで各軒回らせていただいています」とのこと。きっぱり「いりません」というと、ふて腐れた態度(モニターで丸見えです)で隣へ。

なぜ都営住宅でセールスが多いのかというと、まずはオートロックでないことです。あとインターホンを備えた住戸が少なく、住民を玄関外へ誘導しやすい(口悪く言えば引きずり出しやすい)ことです。それともう一つの大きな理由が「住民に高齢者が多い」という点です。都営住宅は低所得な人の住まいです。もちろん低所得なのに、かなりの預貯金を有している人でも入居できますので、いわゆる「貧乏人」ばかりではないと思います。ですが基本的なスペックとしては、お金持ちではない人が多いと思います。それでもセールスが多いのは、やはり「高齢者が多い」こと。これにつきると思います。

振り込め詐欺などを見ていても、被害は高齢者に集中しています。老人の無防備、無関心、孤独は、彼らにとって絶好のターゲットです。「お金をあまり持っていない」という点を除けば、集合住宅で短時間で効率よく訪問できることなど、ここ都営住宅は実に好都合な条件がそろっているのです。これはと思った相手には、言葉巧みにしつこく食い下がります。もちろんセールスマンが皆、悪質な業者とは限らないのですが…

入居後申請の項目では、設備改善申し込みのことを書きました。これの工事内容の7番に、インターホンの設置工事があり、高齢者がいる世帯ですと、無料で設置してくれます。今の時代、インターホンは絶対にあったほうがいいと思います。玄関外まで「引きずり出されて」しまいますと、悪質セールスマンの思うつぼです。「引きずり出される」までも、足をドアの隙間にはさんできたりする場合もあります。ノルマに追われて彼らも必死なのです。このようなリスクを少しでも減らすため、該当する世帯の方は是非とも申し込みしていただきたいと思います。

なお廊下側に部屋がある場合は注意が必要です。換気のために隙間をあけていると、その隙間から中の様子をうかがおうとしたり、耳を立てて居留守をしていないか確認している場合が多いからです。私のところはモニタホンの録画再生で確認できますが、まるで空き巣でもしようかというようなそぶりが、ばっちり記録されていて、なんともやりきれない気分になります。

ちなみに宗教や政党絡みの勧誘ですが、地方議員選挙前の候補者挨拶や、署名のお願いなどはたまにありますが、基本的にほとんどありません。私はむしろ、セールスよりもこちらのほうが苦労すると、入居前には思っていたのですが、案外拍子抜けでした(これも住宅によってかなりの違いがあると思います)。ただし特定の宗教を信仰する方は実に多いです。これも私の体感ですが、棟全体で、35%程度の世帯が該当しているものと思います。政党についても、特定の2つの政党の支持率は、合計すると50%に近い値だと思います。従って選挙(公職選挙法対象)での、細かい地区ごとの得票率(組織票になりますので、当然投票率も周辺地区より高くなります)は、都営住宅だけで構成されるユニットがあると、異常に高い値になっていたりします。


巡回連絡カード

都営住宅に引っ越してくると、近くの交番の警察官の方が、「巡回連絡カードというものを書いて提出してほしい。」と下のような厚手の紙を持ってきます。
巡回連絡カード
今から20年近く前に記入した記憶がありますが、それ以降は、かなりの回数引越しているにもかかわらず、回ってきた記憶がありません。今住んでいる所は都営住宅ですから、それゆえの可能性もあります。なお前回20年近く前の時は、一戸建てに住んでいました。

任意で強制力はないとは思いますが、私の個人情報など大したものでもありませんし、提出しないことによって目をつけられても困ります(笑)ので、早々に提出しました。

警察職員の採用試験で、2次試験まで進まれた方はご存知かと思いますが、細かい親族等の状況まで書かされます。それこそ既婚者であっても、遠方に住んでいてほとんど連絡も取らない兄弟の、それも配偶者のことまで記入を求められます。勤務先も併せて記載する必要があります。面白いのが記載順序で、自身の配偶者や子の情報より、兄弟やその配偶者の情報のほうが上位になっていて、かなりの違和感を覚えます。

巡回連絡カードには、もちろんそこまで求められてはいませんが、勤務先や本籍は必ず書くように求められました。あくまで緊急時用(緊急時になぜ本籍が必要なのかはよくわかりませんが)ということでしたが、やはり「特定の党関係者がいないか」や思想、信教など、他の目的もあるような感じもしました。


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