都営住宅の暮らし

5・11月 家族向・単身者向

家族向・単身者向の、最も一般的な募集方法になります。なお、すべての募集(直接募集を除く)に共通する事項なのですが、申込書の受付最終日よりも早く、募集案内等の配布期間やダウンロード期間は終わってしまいます。よく受付最終日まで配布されていると勘違いしている人がいますので、忘れないようにインターネットや役所(図書館などに置いている場合もあります)で手に入れましょう。

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さて家族向ですが、「都内に居住していること」という条件はありますが、どのくらい住んでいるかは関係ありません。極端な話、申込書の配布期間の最終日(上の例ですと平成27年5月15日)に都内に転入してきても応募できるということです。「同居親族がいること」という条件がありますが、婚約者など、申込み時は単身でも、申込みできる場合もあります。所得制限は当然クリアしなければなりません。またUR賃貸住宅、公社住宅、都民住宅、公営住宅などの、公的住宅の名義人が、申込者だけでなく入居予定者にいれば、原則的に申込みはできません(ただしこれにも例外があります)。ですので「都営住宅になかなか当たらないから、とりあえずコーシャハイムにでも入っておいて、都営住宅当せんを狙おう」などとすると、入居資格ではじかれてしまいます。

家族向一般募集住宅には優遇抽せんを行う地区があります。高齢者、障害者、ひとり親、生活保護世帯などの乙優遇(7倍)と軽度の障害者、難病患者、親子ふれあい同居、準多子世帯などの甲優遇(5倍)があります。優遇抽せん地区の申込者数は、一般的には

乙優遇(7倍)>一般(1倍)>甲優遇(5倍)

の順で、乙優遇の人が最も多くなります。人気物件ほど、この傾向は顕著です。なお単身向、定期使用住宅、若年ファミリー向には優遇抽せん制度はありません。

どうしても当てたいと思えば、世帯用ですと、市部には毎回倍率が1倍を切っている物件がありますので、このような地区を狙うことになります。ただしこの地区の場合、バスを利用せざるを得ず(鉄道駅まで徒歩は無理と思われます)、さらにそのバスが到着する駅は、神奈川県内です。この場合、シルバーパスや障害者の50%割引は、都内を出てしまった分には効かなくなってしまいます。これでは高齢者や障害者の方は応募するのを躊躇してしまいます。

倍率が低くなる傾向にあるのは、市部(市部といっても、武蔵野市、三鷹市など非常に人気の市もあります)、駅遠、築年数が古い、エレベータなしということになります。どうしても23区にこだわるならば、埼玉県境に近い足立区などの、エレベータなし、バス便の物件ということになると思います。

また建て替え狙いであえて、古い物件に申込む人もいます。築35年以上になれば、スーパーリフォーム、建て替え候補になるからです。ただ新しくなった住居の面積は、以前より小さくなってしまうことがほとんどです。さらに「(家族が亡くなって)一人暮らになり3DKで広々(ラッキー)」などと思って暮らしているような人にとっては、これを機に単身用に移ってくれ(これは当然のことだと思うのですが...)ということになると、本人にとっては深刻な問題です。従って反対運動が起こることも多く、すんなり建て替えとはいかないことも多いです。

単身者向は条件は厳しく、都内に3年以上居住している必要があります。また申込者は基本的に60歳以上(経過措置で59歳でも申込み可能な場合もあります)であることが必要ですが、身体障害者手帳1~4級、愛の手帳総合判定1~4度、精神障害者保健福祉手帳1~3級の方も申込みできます。愛の手帳総合判定4度、精神障害者保健福祉手帳3級は、使用料(家賃)の特別減免の対象外で、生活保護の障害者加算も受けられませんが、単身者向入居資格からは除外されることなく申込み可能です。生活保護受給者(成年者)は、年齢、障害によらず申込めます。所得が基準内であることや、現在公的住宅に入居している場合などは、世帯向と同様です。

定期使用住宅(若年ファミリー、多子世帯向とも)は、10年の入居期限が設定されていて、10年間に限り入居できる住宅です。したがってこの期間が過ぎると住宅を返還しなければなりません。ただし入居後5年を経過後は、再度都営住宅募集に応募することができます。一般的には公営住宅等に住んでいる人は、応募することはできませんが、この場合は特例といえます。定期使用住宅は倍率も非常に低く、いったんこちらを狙うというのも手かもしれません。

若年ファミリー向(定期使用ではない)は入居期間の定めはありません。同居者全員が40歳未満である必要があります。母子・父子世帯や単身者は申込めません。優遇抽せんはないものの、応募倍率自体は非常に低く、希望している住宅が募集にでている場合は、まさにねらい目といったところです。ただし募集地区をみていただければわかるとおり、「23区郊外」や「市部」、「都心に近い人気区でありながら、例外的な不人気地区」といったような、イマイチな物件が多いです。その結果、数少ない人気地区に希望が集中して、やはり倍率もそれなりに高くなってしまいます。

東日本大震災被災者用の申込書は、平成27年5月分の募集から新たに加わったものです。そのため募集案内の冊子が急に分厚くなった感がありますが、募集戸数がその分増えているわけではなく、一般の募集と同じところから選び ます。つまり語弊があるかもしれませんが、「一般の募集に食い込む」形になります。被災者といっても、その被災程度により入居資格が異なります。例えば「原発事故の居住制限者」の場合、「所得制限なし」「単身者向の年齢制限なし(成年である必要はあり)」など、かなり緩和された条件になっています。逆に「震災で全壊の被害を受けた方(福島県でなくてもよい)」の場合は一般の入居資格にあてはまっていなければなりません。つまりこの場合は、住民票自体も都内になくてはなりません。その他の「原発居住制限者」「支援対象避難者(全員避難)」「同(一部避難)」の場合には、住民票を必ずしも異動している必要はありませんが、他の公的証明書は必要です。単身者の場合は、都内に継続して3年以上居住の条件があります。これは「原発居住制限者」の場合でも同じです。また優遇抽せん地区の申込みの場合、無条件で優遇倍率5倍(乙優遇にあてはまる場合は7倍)になります。

なお平成27年5月の倍率は、1年前の平成26年5月の倍率より下がっています。したがって、この「被災者用申込書」新設の、倍率等への影響は、ほぼなかったものと考えられます。

現在の募集でも、倍率には大きな影響はありません。これは例えば「福島県自主避難者向け都営住宅入居者の募集」など、被災者のための当たり専用枠があることで、都民用の高倍率の募集に申し込む必要がないためです。ちなみにこの「福島県自主避難者向け都営住宅入居者の募集」の入居時期は平成29年3月以降で、募集戸数300戸(うち平成28年7月分200戸)、応募者192世帯、当せん191世帯でした。


2月・8月 ポイント方式など

「家族向ポイント方式」「単身者向、単身者用車いす使用者向、シルバーピア」及び「事業再建者向定期使用住宅」があり、冊子は別になっています。

すべての募集において、都内に3年以上居住という条件が設定されているため、最近都内に引越してきた人の場合は申し込むことができません。ですので「最近一時期だけ事情があって都外に住民票を移していたが、それ以外は生まれて数十年ずっと都内で暮らしていた」といっても入居資格がないことになります。

まず家族向ポイント方式です。

家族向ポイント方式表紙
意外とわかりづらいので説明しますと、申込み後抽せん等はなく、高順位だった人には2月募集の場合、2月下旬〜4月下旬頃(8月募集は8月下旬〜10月中旬頃)に、まず電話で連絡がいきます。この電話の内容は申込書に書かれた内容の確認等で、対象者に確定したとの通知ではありません。ですがこの電話が来れば、内容に不備等がない限り、まずは資格審査対象者となったも同然のようです。しかし電話連絡が来たのにアウトという場合もあるようなので、あまり大喜びはしないほうがよさそうです。審査対象者になった場合は、連絡後2週間くらいで審査のハガキが送られてきます。

逆に電話連絡がないということは、ダメだったということになります。ポイント方式で電話連絡なしで、資格審査者の通知が郵送されてきたというのは聞いたことがありません。つまり、2月募集の場合は5月下旬(8月募集は11月下旬)に、順位の書かれた低順位通知(つまり対象者にならなかった)が届くことになります。

申し込みのコツですが、狙い目は当然募集戸数の多いところになります。東京都在住3年以上という、比較的高めのハードルはありますが、やはりライバルは多数です。「いくらなんでも自分より困難な状況に置かれている人は存在しないだろう」という考え方はまず間違いです。募集戸数1戸では、なかなか審査対象者にはならないでしょう。またポイント方式で募集が1戸だけの地区の場合、審査対象者が失格になった場合でも、時間の関係で次点の人に回すことはせず、次回の募集まで先送りするとも聞いたことがあります。

単身者向けも、都内3年以上居住という条件がまずあります。60歳以上が主な条件ですが、生活保護や、障害者、特にうつ病などで精神障害者保健福祉手帳3級持ちの人は多いと思いますので、若い単身者でも意外と応募できます。こちらはどんなに悪条件のところを選んでも、10倍程度の倍率にはなると思います。高い所ですと300倍超になります。そんな中、毎回低倍率の上位に名を連ねるのは江東区の住宅で、東砂、南砂、辰巳など、単に募集数が多いのもあるかもしれませんが、狙い目かもしれません。

単身者向表紙
シルバーピアは申込者が65歳以上という条件があります。このシルバーピアには、「単身者が結婚した」「二人世帯で二人で暮らしていたが、(片方が)死亡してで単身になった」場合には、「他の都営住宅をあっせんする」となっています。この場合は住宅変更申請で対応します。倍率は単身者向けと似た傾向です。

事業再建者向定期使用住宅には5年の入居期間が設定されています。
事業再建者向表紙
事業再建により自宅を失い、経営している(中小)企業が、民事再生法による再生計画の認可決定を受けている必要があるなど、短い入居期間しかない割に、さまざまな条件が付帯しています。そのため全戸応募ゼロという回も多くあります。


1・7・10月 直接募集

都営住宅の募集には、上記以外に直接受付募集というものがあります。1月、7月、10月に行われ、主に家族向けですが、10月は家族向けと単身者向けの募集があります。あまり知られていない募集方法です。

直接募集表紙
通常であれば募集案内は、近くの区市役所などにおいてありますが、この案内は都庁や東京都住宅供給公社まで取りに行く必要があります。webでの物件検索もできませんし、郵送で申し込みすることも不可です。一般的には直接都庁なり、JKKに指定日に行って、その場で申し込みをします。持参するものとして、62円切手(平成29年6月1日より。図の平成25年10月当時は50円切手でした)が2枚必要です。気に入ったものがなければ、交通費を無駄にするだけで、徒労に終わってしまいます。なお未確認情報ですが「○○区の募集2戸となっているが、物件所在地と事故の内容を教えてほしい」などと電話で問い合わせても、教えてもらえるようです。その場合でも、申込み自体は結局現地で行うこととなります。

この募集物件は下の写真にあるとおり、病死や自殺といった、民間賃貸でいう「心理的瑕疵物件」に相当するものです。ただ民間賃貸の場合は、病死、老衰で同日、翌日発見などでは、自然死ということでこれには当たらず、ふつうの物件として扱っているようです。都営住宅の場合はこれらの物件でも、直接募集で取り扱っています。


で、この冊子の中身なのですが、こんなことが書いてあります。

直接募集表紙
事故内容は、上図の病死、縊死、飛び降り自殺、窒息死、不詳の死のほかに、溺死、焼身自殺、火災火元自殺、老衰、一酸化炭素中毒自殺、練炭自殺などがあり、発見も同日から1年8か月後などというものまであります。不詳の死というのは殺人事件かもしれませんし、溺死の数日以上経ったものはかなり悲惨な状態だそうです。詳しく知りたい方は、こちらのブログ特殊清掃「戦う男たち」が参考になるかと思います。また事件性の高い当該物件については、大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイトに掲載されている場合もあります。

ただこの冊子の中身のページ(上図)もそうですが、病死の同日~2日後発見というものがかなり多く、これらの物件は狙い目になってくると思います。ただしいくら「訳あり物件」といっても倍率は高いです。下手をすると一般募集より高かったりします。特に10月の単身者用は、事故内容などお構いなく高倍率です。100倍超など珍しくありません。ただし世帯用の場合は、事故内容も立地もダメという場合、応募者なしということもままあります。

なお直接受付募集の申し込みにはコツがあります。写真の平成25年10月は4日間の受付ですが、この場合、できるだけ後半の日に行くほうがよいと思います。なぜなら前日までの応募状況が、会場に貼り出されているからです。その状況を見て、倍率の低そうなところに応募するということができるわけです。ただし当日の申し込み状況は、リアルタイムでは掲示されません(以前はそれも表示されていたようです)。なお会場は日程の前半(もしくは初日のみ)が都庁、後半(もしくは初日以外)が渋谷区の住宅供給公社であることが多いです。この青山の公社は、坂の上の結構わかりづらい場所にあるので、行くのは面倒です。最終日は土曜日であることが多く、午前中で終了なので注意が必要です。

抽せんは例によってガラポンです。各区分1戸ずつですので、当せんは1つだけになります。当せん番号の次番(当せん番号が最後番の時は最初に戻って1番)は補欠になります。補欠でも「やっぱり(事故内容が)気になるのでやめた」という人も一定数いてお鉢が回ってくることも多く、気にならない方には狙い目だと思います。さらに5月・11月の一般募集や、2月・8月のポイント方式などと違い、入居する部屋が決まっていることもあり、比較的早く入居できることもメリットのひとつに挙げられると思います。


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